2週間の休載をはさんだ割には、あんまり話が進みませんでしたね。
今週の、気になった点
せめぎ合い
「超人閻魔は、オメガの味方」と語ったフェニックス。
さらに彼が続けるには
今のお前たちは・・・
もっと大きな存在のせめぎ合いの中で踊らされている・・・哀れな道化のようなもの・・・
というヒントが提示されました。
まあ要するに背後にサタンの思惑があるっていうことなんでしょうが、私が前回から予想している「神々とオメガが戦わざるを得ない状況」への危惧を、超人閻魔や4王子は抱いているのだと考えて良いと思います。
超人への愛
さらにフェニックスはこう続けます。
神をその身に宿したオレだから分かることもある
全てが明らかになった時、お前たちを含むこの世の超人はあまねく
そのザ・マンに感謝することになるだろう
これまた理解しがたい論理。
オメガ一族はもとより、完璧超人以外の地上の超人からしてみたら、ザ・マンがやってきたことは「大きなお世話」な印象が強いのではないでしょうか。
フェニックスのように、神の憑依を受けてはじめて分かる事実があるのでしょうか?
だとしたら、どんなふうに?
神に憑依されると、意識や記憶が共有されて、超人たちが知り得なかった事実まで知ってしまったということでしょうか?
しかしそれにしては、王位争奪戦では邪悪神が憑依しながらも、自信を持てないフェニックスを励ますような場面がままありました。
それとも、神に憑依されるというのは、なかなか耐え難い体験なのでしょうか。
だからこそ長きに渡って超人界を神の介入から守ってきたザ・マンに感謝したくなるのであり、また長い歴史の中で例外的に神の憑依を受けた自分だからこそ分かることなのだ、と言いたいのか。
お前か〜〜っ フェニックスをやったのはーーっ!?
そうに決まってるじゃん(笑)
安土城が夕焼けだとするとスグルのいるウクライナは正午ごろのはずですが、まあそれは言うだけ野暮なので置いておくとして。
「フェニックスの仇を取る」と言うスグルに対して「100点満点の答えだ」と返すアリステラ。
当初からアリステラはスグルと闘いたがっていましたが、それは今も変わらないのでしょうか?
知性の神の憑依したフェニックスをも上回り、現時点でもじゅうぶんに「神超え」が可能であることは確認できたはず。
それならば寄り道などせずに、すぐに超人閻魔のところに行くべきではないでしょうか?
それとも、パイレートマンが星を救うためにスグルの力を借りることは出来ないと言っていたことを受けて、アリステラ自身が星を救う力を身につけるために、スグルと闘いたいということなんでしょうか。
墓場の閻魔とネメシスはすぐには動かなそうだし、マッスルガム宮殿と魔界の結界にも変化はなさそうです。
よっぽどのことがない限り、スグルvsアリステラが始まってしまいそうな勢いですよねぇ。
誰かが割って入るとしたらジャスティスマンか、このあいだマスクを回収したアタル兄さんか。
電撃予想
超人への愛とは
フェニックスという意外な人物の口からほのめかされた、ザ・マンの「超人への愛」とは?
全ての超人がザ・マンに感謝したくなる理由とは?
その鍵は、神話にありました。
以前の記事で私は、邪悪5神と「天岩戸」神話との類似を指摘しました。

そしてこれ以外にも、キン肉マン新章には日本神話との大きな類似があったのです。
太古の昔、地上で栄華を誇っていたのは、地上で生まれたオメガ一族でした。
しかし、あるとき天から降ってきたザ・マンと、その一味によって地上の支配者の座を追われたのです。
その後、ザ・マンは完璧超人軍という、より神に近い超人の一族を生み出しました。
これは「天孫降臨」とうりふたつです。
日本神話では、出雲で生まれたオオクニヌシが、地上の神々(国つ神)のリーダーとなり、農業や医療を人々に指導し、社会の仕組みを整えました。
そこに天上の神々(天つ神)のリーダーであるアマテラスの孫、ニニギノミコトが降臨し、オオクニヌシから地上の支配権を譲り受け、現在の天皇家となりました。
(国つ神系である出雲の古墳は四隅突出型墳丘墓、天つ神系である大和の古墳は前方後円墳。アポロンウィンドウが前方後円墳型であることも、この事実を示唆しています)
キン肉マンの歴史は日本神話をなぞっており、日本神話への理解なくしてはキン肉マンを読み解くことはできないのです。
ところで、天孫降臨よりはるか昔、天上から出雲へ降臨した神がいました。
その神こそ、アマテラスの弟である荒ぶる神、スサノオです。
スサノオは出雲に降り立った後、住人を苦しめていたヤマタノオロチを退治し、その感謝の印にクシナダヒメをお嫁さんにもらい、出雲に定住します。
その子孫が、国つ神のリーダーとなるオオクニヌシです。
邪悪5神と天岩戸の関連を指摘した以前の記事では、私は残虐の神をこのスサノオに比定しました。
これが何を意味するのか。
つまり太古に、残虐の神の加護を得て地上の戦乱を平定した超人が存在し、その超人の子孫こそがオメガ一族なのです。
しかしながら、もともと神の加護を得て成立したオメガ政権には、独力で王権を維持しきれない場面がたびたびあり、そのたびに邪悪の神からの介入を得て王権を保持してきたのです。
ところが、この「邪悪神の介入」というのが、あまり気持ちのいいものではないというか、内外に多大な犠牲を出しながら、危険分子をあるいは排除し、あるいは取り込むものだったのです。
一番分かりやすい例が、あの王位争奪戦です。
王位争奪戦も、未熟なスグルを鍛えて安定した王権を維持できる力を備えさせることを目的とした、邪悪神の「介入」だったのです。
そしてあの戦いを経て、マンモスマンやプリズマンのような危険人物は抹殺することに成功し、魔界のアシュラマンとは友好関係を築いています。
「闘うことで分かり合う」という超人の生まれ持った習性をうまく活かしたやり方ですが、まあ乱暴ではあります。
しかし、そんな裏の意図は、もちろん4王子には知らされていませんでした。
フェニックスにしてみれば、神々の手のひらの上で踊らされて、必要もないのに血で血を洗う争いをさせられてしまった訳です。とんだ茶番です。
王位争奪戦以後、フェニックスが知性の神を毛嫌いしているのも「さもありなん」といったところですね。
王位争奪戦の直前にはネプチューン・キングが起こしたゴタゴタもあって邪悪神がつけ入る隙を与えてしまいましたが、元来このような介入を退け、超人界を守ってきたのがザ・マンだったのです。
これを指してフェニックスは「感謝」と言っているのではないでしょうか。
大和は出雲を根絶やしにはしませんでした。
それどころか立派な出雲大社を築き、『古事記』『日本書紀』にもオオクニヌシの事績を載せています。
同様にザ・マンも、オメガ一族を根絶やしにはせず、遠い星へと逃しました。
そこには、神々から危険視されかねない特異体質であるオメガ宗家を、神々の監視の届かない場所に逃れさせるという意図もあったんだと思います。
しかし、それによって彼らに「歪んだ歴史を歩ませてしまった」ともザ・マンは言っています。
辺境の星団での苦難の歴史と、それによって地上の超人のレベルを遥かに超えて肥大化した超人強度。
これは本来の超人のあり方からは逸脱して歪みつつあり、そうさせてしまったことをザ・マンは悔いているのです。
出雲大社でも作ってやり、自分たちの傘下に入れて守ってやれば良かったと、彼は思っているのかもしれません。
なんてね。
ワタクシ、nemlogというブログサイトで日本神話の入門記事も書いてるので、もし興味あれば覗いてみて下さい。

先日の上皇陛下の譲位の儀に際して、「スサノオが蘇る」と騒いだ人がいましたが、あれは残虐の神の力を借りたアタル兄さんが近々参戦することを予言していたのかもしれません。