ブロックチェーンとAIを用いて広告の新しい形を提案するNOIZchainが、nemとのパートナーシップを発表しました。
リリース→medium.com/@NOIZchain/noizchain-partners
このNOIZchainについて、彼らが提唱する「コグニティブ広告」やそのトークンエコシステム、nemとの関わりについて調べてみました。
主にホワイトペーパーを参照しています。
現状の広告の問題
NOIZchainによれば、広告産業が抱える非効率な構造のために、毎年190億ドルの経済的損失が発生しています。(これはアイスランドをまるごと1個買える金額)
パブリッシャー(WEBメディアやブログの運営者)から見て
パブリッシャーは、毎月のページビュー数やユニークユーザー数、その年齢性別などの情報をもとにして、コンテンツの内容を決めたり、広告主に営業をかけたりしています。
しかし、スパムトラフィックによってその情報は、歪められています。
その結果、ユーザーが求めているのとは違うコンテンツを作ってしまったり、広告主から正しく評価されなかったりします。
また、広告主とパブリッシャーの間に入る仲介業者の存在も、ロスを生んでいます。
消費者から見て
CookieやGPS追跡システムによって、知らないあいだに情報を収集され、利用されています。
そもそもこのようなデータは消費者が生成したものなのに、消費者に所有権が無いのも問題です。
また、広告主やメディアへのフィードバックの方法が限られているため、興味のない広告を何度も見せられて、不快な思いをすることになります。
NOIZchainのソリューション
データは消費者が所有する
消費者は、どの広告主やパブリッシャーに自分のデータを提供するか、選ぶことができます。
また、データを提供した際にNOIZトークンで報酬を受け取ることができます。
ユーザーの認証システム
NOIZはHyperledgerを使用して、他のプロトコルと接続することが出来ますが、NOIZチェーンのエコシステムに参加するためには、KYCを要求します。
これによってbot等が参加してくるのを防ぐことが出来ます。
また、詐欺的ユーザーに対しては、コミュニティメンバーの投票によってネットワークから追い出すこともできます。
投票
消費者は、コンテンツや広告主、パブリッシャー、コミュニティメンバーの行動に対して good / bad の票を投じることができます。
これが広告表示に反映され、自分が不快だと感じた広告は表示されにくくなります。
広告主やパブリッシャーも同様に投票をすることができますが、自分と同じカテゴリーへの投票(例.広告主から広告主へ投票)はできません。
P2P広告
NOIZエコシステム内でいったん広告主とパブリッシャーが契約を結ぶと、その後はNOIZが仲介に入ることはありません。
自動的にもっとも効果的なパブリッシャー/ユーザーのところに広告が表示されます。
コグニティブ広告
NOIZが提唱する新しい広告の形。
こちらでデモを触ることができます。→http://travelprototype.noizchain.com/
旅行系メディアにホテルの広告が表示されているようなイメージですね。
で、この広告ユニット内で、チャット形式で部屋の予約やキャンセルまで出来るようになっています。
この形式によって、ユーザーの途中離脱を防ぐと同時にスパムもブロックできるとのこと。
ユーザーはこの広告に対して クリックする/ユーザー情報を入力する/契約する というコンバージョンの程度に応じてNOIZトークンを獲得することができます。
また、このコグニティブ以外の形式の広告についても、広告主がトークン付与量を設定できるそうです。
NIKOLA
ユーザーデータや投票の結果から、適切な広告を表示するためにNIKOLAという名のAIを使っています。
機械学習により精度はどんどん上がっていくそうです、
Social Impact
消費者は、トークンと引き換えに広告主やパブリッシャーから割引などを受けることが出来ます。
割引を受けるために使われたトークンは、エコシステム内の慈善団体に寄付されます。
また、自分の持っているトークンを、直接慈善団体に寄付することもできます。
トークンエコシステム
公式サイトからの転載ですが、こんな図です。
発行量:400万枚
トークンはLATOKENという取引所でICO実施中です。
期間は 9/28〜12/31。
10/7まで30%オフになってます。
トークンはもともとERC20で設計していたようですが、現在nemで作り直している模様。
プレセールはETH建てで販売していますが、購入者への分配のスケジュールは追ってアナウンスするとのこと。
nemブロックチェーンの用途
NOIZトークンをnemモザイクとして発行する他、消費者データの管理や広告ユニットをデジタルアセットとして管理するために使用されます。
参照→medium.com/@NOIZchain/noizchain-partners
産業界とのコネクション
アジアのモバイル広告大手hotmob、NDNグループとパートナーシップを結んでおり、彼らから広告主を紹介してもらえるそうです。
おわりに
以上、ざっくりとしたまとめでした。
ブロックチェーン界隈だと、マイクロペイメントによってパブリッシャーに直接報酬が渡るようにして、うざい広告を排除しちゃおうという動きも多いように感じます。
しかしNOIZのように、求めている広告が適切に表示されるようにとか、広告を見てお小遣いをもらっちゃおうという発想も、素敵ですね。
おそらくこれらの両方が、これから広まっていくんだろうなと思います。