こんなのがありましたので、概要と使い方をまとめてみようと思います。
主にこちらの公式ユーザーズガイドの情報をもとに、実際にウォレット等を触ってみながらまとめてます。
CoffeeCoinとは
現在はβ版。Wavesプラットフォーム上で使えるトークンであり、
- P2Pでコーヒー代金の支払いに使える暗号通貨
- コーヒーの取引データを正確に証明するユーティリティトークン
という2つの用途があります。
コーヒーコインプロジェクトの歩み
2017年7月:Wavesプラットフォーム上でCoffeCoinトークンが作成される。
2017年11月:ベータ版がローンチ。注文と取引のデータをブロックチェーンに乗せることができるようになった。
2017年11月:WavesネットワークでCoffeCoinが配られ、またDEXで取引できるようになった。トークン名は”COF”または”CoffeeCoin”。
2018年1月:最初の、生産地からの直売が開始。Thaicoffee.ioを通じて、タイ産のアラビカ豆がコーヒーコインで販売された。注文と追跡データはコーヒーコインを使って、無事にブロックチェーン上に記録された。CoffeeChain.io/betaから見ることができる。
2018年3月:Daily Coffee News で取り上げられる。
2018年5月:Caffeine Mag で取り上げられる。
2018年5月:Webウォレットがローンチ。
2018年5月25日:ユーザーガイドがリリースされる。
CoffeeCoinがもたらすソリューション
CoffeeCoin(以下COF)は、高速で低コストな国際取引を可能にする、P2Pのデジタル通貨として機能します。これにより、サプライチェーン内で様々な通貨が使われることによる、振込手数料や為替手数料を削減できます。
COFの送金は、相手が世界のどこにいようとも、20秒以内で完了します。(wavesトークンのトランザクション速度)支払い金額がいくらであろうと、送金手数料は1COF。(支払い側が負担する。今のレートだと0.4円くらい)
これは例えば、インドネシアの生産者がアメリカのバイヤーに、銀行などの仲介者無しで直接販売できると言う意味。
銀行に支払う為替手数料や送金手数料を省くことができるので、生産者はより多くの収入を得ることができます。バイヤーはダイレクトトレードで高品質のスペシャルティコーヒーを買うことができるし、取引は一瞬で完了するのです。
COFはユーティリティトークンであるので、ブロックチェーン台帳に記録された、様々な証明を提供することができます。発送と受取り、注文、契約、見積り、ロット、カッピングスコア、シッピングの追跡その他いろいろ。
これによって、FAXや電話やメールによる、面倒なコミュニケーションや、そこで生じるミスを劇的に減らすことができます。ブロックチェーンは分散型台帳であるから、データの集中管理でたびたび起こる、改竄や消失とは無縁です。
ロースターやカフェはCOF建てでコーヒーを売ることができるし、コーヒーファンがCOFでコーヒーを買うこともできます。これは、既にThaicoffee.ioで実現されています。
スペシャルティコーヒーの生産者やロースターは、COF建てのカスタムトークンを作ることができます。それを後々コーヒーの購入に当てることができることとしてクラウドファンディングを行えば、ビジネスの維持のために借金をする必要がなくなります。
生産者にとってはコーヒーの価値が上がります。生産者とロースターは借金無しで事業ができます。輸出・輸入業者は煩雑なペーパーワークから解放されます。
また今後追加される予定の機能ですが、小規模ロースターが、マイクロロットでのスペシャルティコーヒー購入できる様になります。これは生産者にも、彼らのコーヒーを高く売るチャンスを与えることになります。
トークンの発行量・価格等。
COFトークンの発行量は4千万COFで、すべて発行済み、追加発行は無し。
最小単位は0.001COF。
現在のレートは 1COF=0.002WAVES=0.4円 程度です。
参照→http://dev.pywaves.org/assets/AcrRM9STdBu5PNiFveTCbRFTS8tADhKcsbC2KBp8A4tx
さわってみる
なんとなく概要は理解したので、それではさっそくサービスを触ってみます。
ウォレットの作り方
https://coffeecoinwallet.io/ にアクセスします。
「NEW ACCOUNT」を選択します。
SEED(バックアップフレーズ)に関する注意が表示されるので、理解して下さい。
SEEDによってのみ、あなたのウォレットにアクセスできます。
- SEEDを、コーヒーコインオフィシャルウォレット(ドメイン:coffeecoin.io)意外に書き込まないで下さい。
SEEDを他人に知られて、ウォレットにアクセスされると、資産が盗まれます。 - SEEDを安全な場所に保管して下さい。PCやスマホの紛失などでウォレットにアクセスできなくなったとき、唯一の復元手段です。
理解したら、「I UNDERSTAND」を押して下さい。するとこんな画面に移ります。
まず、さきほど注意の出た「WALLET SEED」が表示されているので、これを控えて安全な場所に保管して下さい。ネットに繋がったパソコンやスマホに入れておくと流出の危険があるので、紙にメモしておくのが定石です。
次に表示されているのがあなたのウォレットアドレスです。これは後からいつでも見られるのでメモしなくてOKです。
名前は好きなもので大丈夫です。
パスワードは数字、大文字、小文字を含めたものにしないとエラーが出ます。
これらを入力して「REGISTER」を押せば、ウォレットの作成完了です。
あとは別途調達したBTC,ETH,WAVESトークンのいずれかを使い、このウォレットからアクセスできるDEXでCOFを購入することができます。
スペシャルティコーヒー産業に関わっている人であれば、こちらのフォームに必要事項を記入して送ることで、いくらかのCOFがもらえます。
(Google Formsを使っているので、Googleアカウントが必要です)
※8/4土曜日にフォームを送りましたが、8/8水曜日現在、まだレスポンスがありません。「日本のごく小さなロースターなんだけど、私でも買えますか?」 みたいなことを書いて送ったので、大した客じゃないと思って放置されてるのかもしれません(笑)
追記:8/12(日)、丁寧なメールと共にCOFの入金を頂きました。プラットフォームのアップデート作業で忙しかったみたいです。なんと創業者のJamesさんは日本に9年間住んでいらっしゃたとのこと。この記事も読んでくださったそうです。
取引プラットフォーム”CoffeeChain.io”の使い方
公式マーケットプレイスである、CoffeeChain.ioに、「売りたい」「買いたい」という注文を出すことができます。
ウォレットから、エイリアス”coffee”へ、1COFを送付します。
“Attachment”と書いてあるメッセージ欄の文頭に”SELL” “BUY” “SERVICE”のいずれかを付けて、要件や自分の販売サイトのURLを記入します。(ただし140字以内)
送金が完了すると、CoffeeChain.ioの、対応するカテゴリーに掲載されます。
こんな感じで注文が並んでいます。
パッと見、分かりにくいかと思いますが、よく見てもよく分かりません(笑)
結局何グラムをいくらで、みたいな肝心なことはリンク先に飛ばないと見れません。
また、ウォレット内で、COFでコーヒーを売ってくれるショップを探すことができます。
ウォレットの、ショッピングカートのタブを開くと該当ショップへのリンクが出てきます。
現在はThaiCoffee.ioというタイの業者さんのみが掲載されてます。
所感
- コーヒーのサプライチェーンには国をまたいだ決済が数多く存在している。
- コーヒーのサプライチェーンの透明性は高くなく、自分が買っている豆が、本当にパッケージに書いてある銘柄なのか、確かめる術はあまりない。
- コーヒー生産者が事業を続けられるようなフェアトレードの推進、サスティナブルなサプライチェーン構築が求められている。
というような点から、ブロックチェーンおよび暗号通貨は、コーヒー産業に対して大きなソリューションになるのではないかと期待しています。
今回紹介したCoffeeCoin以外にも、
- スターバックス
- IBMとブルックリンロースティング
- エチオピア科学技術省とカルダノ
あたりが、コーヒーのサプライチェーンにブロックチェーンを持ち込もうとしているみたいです。(このへんも、もうちょっとよく調べて記事にする予定です)
CoffeeCoinと上記のプロジェクトとの大きな違いは、P2Pプラットフォームであるという点ですね。
すなわちスタバやブルックリンロースティングの社員だけが見られるツールなのではなくて、誰でも自由に参加して使えるツールが、β版とはいえもうすでに出来上がっているというのは素晴らしいと思います。
また上記の3プロジェクトが主にアフリカの産地(エチオピアとかルワンダとか)と組んで動いているのに対し、CofeeCoinはタイやインドネシアといった、アジアの産地にアプローチしているのも特徴ですね。
一方で肝心のトレーディングプラットフォームであるCoffeeChain.ioの使い勝手はイマイチです。
CoffeeChain.io上でCOFを使った売り買いができるわけでもなく、産地とかの情報を書き込んで共有できるわけでもなく、肝心なことは全部リンク先でやることになります。単なる掲示板に近いです。
さらに掲示板としても、外部のウォレットからの送金を通しての書き込みになるので、手間です。(NEMに馴染みのある方でしたら、snemsをイメージしてもらえると、かなり近いです)
また、今回ざっと触ってみた限りでは、産地・価格・ロット番号といったサプライチェーン上の肝心なデータはどうもブロックチェーン上に乗っているわけではなく、あくまで外部サイトへのリンクを貼れるだけ。
それじゃあ意味がないと思うのですが。
まとめ
CofeeCoinとは
- P2Pのコーヒー取引プラットフォーム
- 取引コストの削減、サプライチェーンの透明化、生産者やロースターによる小規模なファンディング実現 が期待できる
- 既にウォレットやマーケットプレイスが動いている
しかし今のところ、プラットフォームとしては未完成です(まあ、β版ですから)
というワケで、今後も動向を追っていくと共に、私でも買えそうなロットが現れたら、試しに買ってみたいなと思う次第です。