こんにちは。NEMberです。
日本発の、NEMプラットフォームを使ったステーブルコインプロジェクト「LCNEM」の公式ウォレットから lc:jpy をはじめとした法定通貨ペッグトークンが買えるようになりました。
これを受けて、当店では lc:jpy での決済受付を開始しました。LCNEMはスゲエと思ったからです。
しかしLCNEMに対し、「本当に日本の法律的にオーケーなの?」という見方があるのも事実。
本記事ではそのへんの整理と、私がLCNEMプロジェクトに対して思っていることについて書きます。
LCNEMがすごいと思う点
- 法定通貨にペッグしてるから価格変動リスクがない
- クレジットカードより手数料が安い
というのがよく言われる、公式も説明しているメリットです。しかし私はもう1点、忘れてはならないメリットが存在していると思っています。
ウォレットを通してlc:jpyを買ってみてはじめて気付いたことなんですが、決済までのステップが、既存の仮想通貨とはまったく違うのです。
lc:jpyの購入手順は、Googleアカウントにログインしウォレットから購入操作→メールでPaypalの請求書が届く→クレジットカードで支払い→lc:jpyがウォレットに届く というかたち。
つまり取引所に口座を持つ必要が無いし、BTCやXEMを一切触らなくても決済が出来るのです。[note]厳密に言うと手数料として少額のXEMが必要となります。しかし新規にLCNEMウォレットを作ったら1XEMもらえるキャンペーン等実施してますし、fauset等も検討しているようですので、いずれはXEMの残高をまったく気にすること無く使えるようになるんだろうと思います[/note]
これはつまり、仮想通貨がまったくリーチ出来ていなかった層への普及が見込めるということです。
仮想通貨にまったく関心の無い人、むしろ疑っている人にとっては「取引所に口座をつくる」っていうのは大それた事、とんでもない事のように思われているフシがあります。
しかしそんな人たちも、Googleアカウントを使って様々なサービスにログインして、クレジットカードで決済をするのは日常的にやっています。
だからLCNEMなら「仮想通貨なんか知らね」っていう人たちにもNEMを使ってもらうことが出来るんです。まさに「人気の何かがNEMで動いてる」状態です。
むしろ個人的にはこっちの方向を狙って、仮想通貨臭を消して、LC「NEM」っていう名前もやめて、lc:jpyだけが表示されるような簡易版のウォレットを作って、手数料としてのXEMも「燃料」とか「元気」みたいな名前で表示されるようにして、単なる便利な決済アプリっていう顔つきでやって行ったほうが良いんじゃないかと思ったりします。
まあこれは妄想。
LCNEMの、あやしい点
LCモザイクの販売開始を皮切りに、「これって本当にイイの?」っていう議論がLCNEMテレグラムおよびNEM JAPANテレグラムで紛糾してます。
ひととおり議論が落ち着いた所で整理してみると、
- LCNEMは「仮想通貨ではなく前払式支払手段である」
- その中でも「自家型」に当たる
というのがLCNEMの説明。
前払式支払手段のなかでも「第三者型」に該当する場合には金融庁への登録が必要になりますが、LCNEMは「自家型」ということで登録はせず、届出だけをおこなっています。
日本資金決済業協会のウェブサイトによると
Q.自家型前払式支払手段と第三者型前払式支払手段とはどのようなものですか?
A.自家型前払式支払手段とは、前払式支払手段の発行者(発行者と資本関係がある等密接な関係がある者を含みます。)から商品の購入やサービスの提供を受ける場合に限り、これらの対価の弁済のために使用できる前払式支払手段をいいます。第三者型前払式支払手段とは、前払式支払手段の発行者以外の第三者から商品の購入やサービスの提供を受ける場合にも、これらの対価の弁済のために使用できる前払式支払手段をいいます。
とのこと。
上の図でいうとLCNEMのスキームでは⑤⑥が存在しないので、第三者型には当たらないとのロジックです。(受け取ったlc:jpyを換金したい場合は、現金ではなくamazonギフト券とかに換えてもらうことになります)
という訳で理論武装は出来上がっているのですが、ではこの理屈で本当にOKなのか、金融庁に確認は取ったのか、お墨付きは貰ったのかというと・・・
それについては現在確認中とのこと。
ここがいちおう紛糾しているポイントです。
これに対してLCNEMとしてはリリース前に複数の弁護士には確認を取ってあるので充分と判断したし、必ずしも当局の確認を取ることが必要条件ではないとの見解です。
追記:金融庁から問題なしとの回答が出たそうです。
私の意見を述べさせてもらうと、やはり私も、必ずしも事前に確認を取る必要は無かったかなと思います。
問い合わせをして「問題ないですよ!」なんていう爽やかな回答が返ってくれば言うことはありません。しかし「適法でない可能性も否定できない」みたいなことを言われた日には意味もなく身動きが取れなくなってしまうし、完全に藪蛇です。
そもそも、LCNEMを潰すのと応援するの、どちらが社会のためになるかと言ったら私は圧倒的に後者だと思ってまして、だからもしぶつかり合う部分があるのなら法律のほうが道を譲るべきだと思います(笑)。
私の、LCNEMに対するスタンス
様々な意見があるでしょうが、個人的には、自己責任であることをしっかり理解したうえで、LCNEMを積極的に使っていきたい、受け入れていきたいです。
時期が時期だけに、慎重に考えることももちろん大切です。しかし一方で、軽いノリで使ってみようという人間もいなければ普及しようが無いと思います。
チャレンジしている若手に対して「責任持って完璧にリスク潰してからやれよ!? 俺に損させるなよ!?」という態度で向き合うのは、ダサいと思います。NEM界隈の人間としても、国としても。
それよりは「それぞれが許容できるリスクを取りながら、みんなでいっしょに広めていこうぜ」と言えるコミュニティでありたいと思うのです。