『レッド・ツェッペリンⅡ』全曲レビュー

こんにちは。
今回はレッド・ツェッペリンのセカンドをご紹介します。

1969年の10月発売。
ファーストから1年経たずの、短いスパンでのリリースとなった作品です。
全米1位、全英1位のセールスも記録し、伝説のバンドの本領発揮といったところですね。ファンの間でも、この作品を最高傑作に挙げる人も多い、人気作です。

全曲レビュー

1.Whole Lotta Love

セカンドといえばこの曲。ZEPといえばこのリフ。
そんな彼らの代名詞的な、超有名曲です。
邦題は「胸いっぱいの愛を」これも非常にセンスがいいですね。

何はともあれギターリフ。
単純ながらもカッコよく、シビれるリフだけでお腹いっぱいです。
それでいいんです。

サビのフレーズは「わなほらららん♪」なんていう
「とりあえず言っときゃいいんでしょ」くらいの歌い方。

間奏部分ではプラントが
「はぁ・・・
はぁ・・・
はぁ〜・・・」
なんて、クシャミしたい人みたいな声を出しています。

もうね、それでいいんです。
変に力まなくても、リフが最後まで連れてってくれる。

2.What Should And What Should Never Be

ZEPらしい、静と動のコントラスト豊かな曲。

南仏あたりでゆったりと過ごす午後を思わせるような「静」のパートから、いきなり畳み掛ける爆撃のような「動」のパートへ。ちょっとやりすぎじゃないかと思うくらいの振れ幅です。

テーマとなるギターリフが無い代わりに、よく聞くとジョンジーのベースがウゴウゴと怪しくうごめいています。

3.The Lemon Song

あまり有名でない、ベストアルバムなんかにもまず取り上げられない曲です。
他人のブルースをツギハギして作ったような、やっつけ感のある曲です。
しかし、個人的にはこのセカンドアルバムの中でベストの曲だと思っています。

理由は、ベースがめちゃ格好いいから。

基本的にジョンジーというのは腕は良いくせに主張が控えめで、特にスタジオ盤では、1オクターブ低いギターリフみたいな、いつも陰に隠れるプレイをしています。

ところがどういう訳かこの曲でのみ、妙に主張が強いのです。
そしてそれが抜群にカッコイイ。
遊びタップリ、縦横無尽、変幻自在の素晴らしい演奏です。

特に間奏部分が良いですよ。
ペイジ・プラントの2人が比較的静かにしているので、ジョンジーの独壇場です。

そしてドラムのボンゾとのコール&レスポンスに移っていくと。
改めて、このリズム隊はスゴいです。
ジョンジーの絶妙なタイム感ももちろんですが、ボンゾは意外に引き出しが多い。

4.Thank You

おっさん臭い前曲から一転して、キラキラしたバラード。

プラントが気合を入れて作詞を始めた曲だそうで、愛する人との絆の強さを歌っているのですが、さりげなく「雨だれの一滴のように」なんてワードが出てくるあたり、すでに詩人の風格があります。

5.Heartbreaker

この曲、初めて聞いたときは「マジか?」と思いました。
このリフ、ベッタベタじゃないかと。

ツェッペリンって、たまーにこうなっちゃう曲があるんですよね。

あまりにも印象的で、ストレートで、強引であるために
時を経るに従って「ベタ」になってしまう曲。

 

プロレス技で言うと「ラリアット」といったところでしょうか。
もともとはスタン・ハンセンの必殺技だったのに、今や誰もが使うパンチかキックみたいな技になってしまってて、いまどき「ラリアットが必殺技です」なんて言われると、物足りない気がしてしまう。

ZEPの曲でいえば「カシミール」「貴方を愛し続けて」そしてこの「ハートブレイカー」あたりがそんな位置にあって、
「いまさら大真面目にこんな曲やって、恥ずかしくないの?」みたいな。
もちろんZEPの現役時代には「いまさら」ではなかったんでしょうが。

 

しかし、もちろんそれが悪いと言ってるんじゃないんです。ロックとは自分が行きたい方向に突き抜けることですからね。
格好良さの壁を突き抜けてしまったからこその、ベタさなのです。それがスゲエのです。

6.Living Loving Made

「ハートブレイカー」から間髪入れずに始まるところがかっこいい、とよく評される曲。そんなに曲間の短さばかり褒めなくても、とも思いますが、確かにこの始まり方はかっこいい。

そして、その格好良さの余韻が消えないうちに、2分半で駆け抜けてあっさり終わる、粋な曲。

7.Ramble On

なんだか季節感のある、アコースティックな曲。

枯葉が落ちて、秋の月あかりが道を照らして、雨の匂いをかいで、なんていう、自然の手触りを感じさせる歌詞が独特で、その感触が音の方にも現れているのは見事。

8.Moby Dick

早い話がドラムソロの曲ですが、その前に言わせてください。

実はZEPのギターリフでいちばんカッコ良いのはこの曲のものじゃないかと思っているんですが、どうでしょう?
ハードボイルドで、ひたすら強気で、骨太で、前のめりなリフ。
ペイジ、ジョンジー、ボンゾの一体感も素晴らしいです。

で、ドラムソロの話ですが、こちらも素晴らしいです。
表情豊かで、緩急のつけ方も見事で、なんなら起承転結的なストーリー性まで感じさせる、汲めども汲めども尽きない、いくら聞いても飽きないドラムソロです。

 

ライブ盤では演奏時間が延びて、ドラムだけで20分近くやっちゃいます。それでもダレるどころか更にスケール感がアップして、もはや宇宙的な広がりを感じます。
その間、他の3人が引っ込んで休憩してるのはズルイ気もしますが。
ボンゾ疲れちゃうでしょ。

9.Bring It On Home

サニー・ボーイ・ウィリアムソンのブルース曲のカバーに、ハードロックパートをくっつけた曲。

ブルース部分はハープなんかも使って、余裕しゃくしゃくのまったりとしたノリが気持ちいい。

ハードロックパートは、特段どうということもなくいつも通りではあるんですが、ボンゾがドンスカドンスカやってて非常に景気が良いです。

こんな「ブルースをひとつ、派手にやってみました」くらいのノリの曲ですが、このアルバムの最後を飾るにはこれ以外無いような気もします。

まとめ

以上、ZEPのセカンドの、全曲レビューでした。

セカンドは何と言っても、細かいことは考えずに、フィーリングで味わうのがいちばん楽しいアルバムだと思います。

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