こんにちは。
自動車部品メーカーを辞めて、今は飲食店で働いている者です。
部品メーカーの仕事の実態って、外部の方はなかなか知る機会がないと思います。そういう意味では私の経験は、なかなか貴重な情報です。せっかくブログをやっているので、ここでその一部を公開してみます。
自動車部品メーカーへの、就職・転職を考えている方の、参考になれば幸いです。
イメージと、全然違った
私は新卒で入社後、研修を終えて、営業に配属されました。
営業というと、電話をかけまくったり、飛び込みで客先を回って名刺を配り歩いたり、「いい製品なんです! 買ってください!」と力説するような仕事だと思ってました。
お客様には平身低頭、酒・ゴルフ・風俗といった接待なんでもござれの、体育会系の世界だと思ってました。
文科系で、押しが弱くて、根性がなくて、意識の低い私が無事にやっていけるかと不安でした。
しかし、部品メーカーの営業は、少なくとも私がいた会社の営業は、そういったイメージとはまったく違いました。
担当する客先は、1社だけ
そもそも、営業をかける相手が、たったの1社でした。
これは会社によっても違うんでしょうが、弊社の場合、担当する客先ごとに部署が分かれていました。
つまり
トヨタ相手の営業は、営業一部
日産相手の営業は、営業二部
ホンダ相手の営業は、営業三部
といった具合です。
もちろん私の担当も1社だけ。
だから「外回り」というのも、やった事ないです。部品メーカーはお客さんの近くに拠点を作るもの。車で10分くらいのお客さんのところにばっかり、通ってました。
まあ考えてみれば、日本の自動車メーカー全て合わせても10社程度ですからね。しかもその全てと取引があるわけじゃないし。一人の営業マンが、そんなに何社も相手にしないのも当然っちゃ当然です。
そもそも競合がほぼ無い
その部品、納入してるのはウチだけ
また、競合の部品メーカーとの価格競争というのも、ほぼ経験した事がありません。
私が担当していたお客さん、ウチからしかその部品を買っていなかったんです。
でも、これは別に珍しいことじゃありません。
サプライチェーンがもう固定化してる
自動車業界というのも歴史の長い業界ですから、紆余曲折のなかで、どの完成車メーカーがどの部品メーカーから買ってるか、という関係はだんだん固まっていきます。
部品Xについて、トヨタはA社からしか買ってない、日産はB社からしか買ってない、というようなケースは、けっこうザラなわけですね。
新規参入はなかなか難しい
さらに、同じ部品Xといっても、トヨタのものと日産のものでは当然、仕様が違います。
だから仮にA社が、日産にも製品を売りたいと思ったとしても、
現行のものをそのまま使うことはできない。
↓
日産の車にも取り付けられるように仕様変更するには、工場のラインの改造など、大規模な投資が必要。
↓
そんなに金を掛けたら、B社との価格競争に勝てるわけがない。
というような形で、一度固まってしまったサプライチェーンは、なかなか崩す事ができません。
とっくに減価償却の終わった古い設備で、古い付き合いのメーカーに製品を売っている自動車業界。
大規模な投資をして新規参入しても、昔からのプレイヤーに勝つのは困難というわけです。
体育会系・文科系は半々
そんなワケで、意外とゴリゴリでもなかった営業の仕事。
じゃあそんな部品メーカーの営業マンはどんな人たちかというと、体育会系と、そうでない人は半々、といった印象でしたね。
お客さんに気に入られるのは体育会系
そうは言っても、お客さんから好かれるのはやはり体育会系の人の方でしたね。
やっぱり見てると彼らは「相手を立てる」のが上手いです。
普段ハイ、ハイと言うことを聞いて気に入られておいて、いざこっちの要求を通そうという時には「ちょっと今厳しいんで、助けてくださいよ〜」と、相手に頼る形をする。
そのへんコミュ力のない私なんかは、「これはできます」「これはできません」なんて馬鹿正直に言って、逃げ場がなくなったりしましたね。
お客さんの相手だけが営業ではなかった
で、意外とお客さん対応だけじゃないんですね。営業って。
客先から命じられた事を社内に展開する段取りとか、売上実績の集計や売上計画の作成・見積もりの作成といったデスクワークもけっこうボリュームがありました。
私はチマチマとExcelをいじったりするのが得意だったんで、売上計画や見積もりといったデスクワークは他の人の分まで手伝って、かわりに社内調整を手伝ってもらうような事がよくありました。
まとめ
部品メーカーの営業は、想像していたよりは緩かった。
体育会系じゃなくても、コミュ障でも、「自分にできること」を見つけられれば、営業マンとして輝ける。
でも、営業以外ならもっと輝けるかもしれない・・・